横浜市営バス車両めぐり 日産ディーゼル車(富士重)

 こちらでは、横浜市営に在籍する日産デ(日産ディーゼル)車のうち、富士重工業製車体の車両を紹介したいと思います。このグループは、原則的に滝頭(たきがしら)・港北ニュータウン・磯子の各営業所に在籍しましたが、一部は本牧や鶴見へ転属した車両もいました。なお、港北ニュータウン営業所は廃止となり、車両の転出が発生しています。現在では一部の車が滝頭から浅間町(せんげんちょう)へ転属しています。
 車両の長さは短尺と中尺がありますが、磯子は中尺が主力で一部に短尺が、滝頭は短尺車が在籍しています。1989年式から1995年式の一部まで機械式オートマチック(E-MATIC)を装備しています。

2012/02/14 更新 1-4543を追加しました。


1987年下期車 日産デP-U32K(7-4932 滝頭)

 富士重5E車体を架装した車両です。この1987年式までは、非常口側の空調用ルーバー(車体中央裾部)が2つあり特徴的です(1988年式からは1つとなっています)。また、正面のナンバーの位置も1988年式とは異なっており、特徴ある顔つきとなっていました。桜木町駅にて撮影
1988年上期車 日産デP-U32K(8-4201 滝頭)

 こちらも丸っこい富士重5E車体を架装した車両です。短尺のK尺車で、狭隘路線で使用する車掌さん用のツーマン機器を搭載していました。なお、ツーマン機器を搭載しない同型車は港北ニュータウンにも在籍しました。画像は晩年で131系統運用に入っているシーンです。桜木町駅にて撮影
1988年上期車 日産デP-U32L(8-4311 磯子)

 富士重5E車体を架装した最終のグループです。磯子の車両は中尺のL尺で投入され、それ以外の営業所では短尺のK尺で投入されていました。晩年は平日ラッシュ時の113系統が主な運用で、2000年下期に全廃されました。
1989年下期車 日産デP-U33K(9-4340 港北ニュータウン)


▲横浜市営のU33系でマニュアル車は港北ニュータウンのみの在籍だった。

 この年式から四角い7E車体となりました。港北ニュータウン営業所に投入されたグループで、他の営業所とは違ってまとまった台数が在籍しました。他の営業所はE-MATIC試作車のみの在籍ですが、港北ニュータウンはE-MATIC試作車は1台で、その他はマニュアル車でした。画像は港北ニュータウンのみの存在だったマニュアル車です。新横浜駅にて撮影
1989年下期車 日産デP-U33L(9-4331 磯子)

 この年式は、滝頭・港北ニュータウン・磯子の各営業所に投入されています。磯子の「9-4330」と「9-4331」のみ中尺のL尺で2台ともE-MATIC試作車、それ以外の営業所では短尺のK尺で投入され、滝頭はワンマン・ツーマン兼用のE-MATIC試作車(1台限り)、港北ニュータウンはE-MATIC試作車とマニュアル車が存在しました。桜木町駅にて撮影
1991年下期車 日産デU-UA440LSN(1-4344 本牧)


▲転属で本牧に移ったUA440系。過半数が三菱車の同営業所では異色の存在だった。

 側窓が二段窓のUA440系です。U33とよく似ていますが、前扉脇の車番付近に見られる帯の処理やエンジンルーバーに違いが見られます。この年式から機械式ATのE-MATICが本格採用されています。E-MATIC車は、リヤウインドウから見えるところに「E-MATIC」と書かれているので識別は容易です。1992年式までほぼ同じ仕様で増備されました。磯子と港北ニュータウンに在籍が確認されたほか、転属で本牧営業所に2台在籍した日産デ大型車です。根岸駅にて撮影
1994年下期車 日産デU-UA440HSN(4-4415/4-4414 鶴見)


▲転属で鶴見に移ったUA440系。過半数がいすゞ車の同営業所では異色の存在だった。

 側窓に引き違い式窓が採用されているUA440系です。1993年式から1995年式までこの側窓が採用されています。車内には背もたれが高いハイバックシートが装備されています。画像は短尺H尺の車両で、港北ニュータウンに在籍したほか、転属で滝頭・鶴見にも在籍しました。ワンサイズ長い中尺のL尺車は磯子営業所に在籍しました。鶴見駅東口にて撮影
1994年下期車 日産デU-UA440HSN(4-4258 滝頭)

 こちらは滝頭のワンマン/ツーマン兼用車のUA440系です。車番にもそれが示されていて、4桁のうち左から二桁目4258にて見分けることが出来ます。基本的には滝頭限定配置でしたが、一部は港北ニュータウンに転属していった車両もあったようです。上大岡駅にて撮影
1994年下期車 日産デU-UA440HSN改(4-4418 滝頭)


▲最後の旧塗装車。晩年は浅間町で活躍。

 CNG圧縮天然ガスバスの試作車で、1台限りの貴重な車両です。登場時は、前面行先表示器の両脇に低公害車を示すハートマークがあったり、側面幕板部に「CNG圧縮天然ガスバス」の文字があるなどしましたが、間もなく外部マーク・文字などを量産車に合わせて変更されました。なお、1991年式からE-MATICが本格採用となりましたが、この車はMTが採用されています。低公害車ということが寿命を長くし、新塗装車の廃車が行われる中で、唯一の旧塗装車として異彩を放っていました。晩年、浅間町に転属しました。
1995年下期車 日産デKC-UA460LSN(5-4447 磯子)

 UA460系です。画像の1995年式は、E-MATICが採用された最終タイプで中扉引き戸も最後となりました。なお、磯子の車両のみ中尺のL尺で、それ以外の営業所では短尺のH尺で投入されました。桜木町駅にて撮影
1995年下期車 日産デKC-UA460LSN(5-4452 磯子)

 扁平タイヤを履いた都市型低床車です。各営業所に各1台投入されました。磯子の車両のみ中尺のL尺、その他の営業所では短尺のH尺となっています。この車両からE-MATICをやめてMTに戻り、中扉4枚折戸を新採用しています。
1997年上期車 日産デKC-JP250NTN(6-4489 滝頭)


▲UA460系の代わりに大量に在籍したワンステップJP250系。

 中型車の車体幅に大型車並の全長というJP250系です。エンジンは中型車のものを使用しており、大型車とは走行音が全く違います。このグループから本格的にワンステップバスとなり、側窓の黒サッシ上段引き違い下段固定窓と新塗装が採用されました。営業所によって車体メーカーが違い、西日本車体工業製車体の車両は磯子にのみに在籍し、その他の営業所では富士重8E車体の車両が配置されました。滝頭車は晩年9系統での運用が多く見られました。桜木町駅にて撮影
1997年上期車 日産デNE-UA4E0HAN(6-4501 滝頭)


▲走行音に特徴があるCNG車。アイドリングストップアンドスタートシステムは装備されない。

 CNG圧縮天然ガスバスの量産モデルUA4E0系です。CNG充填設備の整った滝頭には本格投入されています。燃料に圧縮天然ガス(CNG)を使用することにより、大気汚染の問題になっている黒煙が出ないという低公害車です。滝頭にのみ新製配置され、長さも短尺のH尺車のみです。扁平タイヤを履いた都市型低床仕様で中扉に4枚折戸を採用しています。のちに浅間町に転属し、滝頭の系統では姿が見られなくなっていました。磯子駅にて撮影
1997年上期車 日産デKC-UA460LAN(6-4487 磯子)


▲意外にも横浜市営のUA460系ワンステップバスはこの1台のみの存在だった。

 ワンステップのUA460系です。中扉に車椅子用リフト・前扉には補助ステップが設けられています。さらに車体を下げるニーリング機能(車高調整装置)とアイドリングストップアンドスタートシステムを装備して、主に58・99・64系統で運用されました。順当に行けば、ワンステップで4枚折戸のUA460系が投入されてもおかしくはなかったのですが、代わりにJP250が導入されてしまったことで、UA460はこのリフト車ただ1台のみとなってしまいました。桜木町駅にて撮影
1997年下期車 日産デNE-UA4E0HAN(7-4510 浅間町)


▲車体各所に「CNG」の表記が見られるCNG車。いち早くこのグループが全滅した。

 CNG圧縮天然ガスバスの増備車です。1997年上期車と比べるとエンジンルーバーの形に変化が出ています。また、車外・車内スピーカーの形や車内座席が変わりました。なお、横浜市営のUA4E0は扁平タイヤを履いた都市型低床仕様で、1998年式までは前ドアに補助ステップを装備しています。1999年まで増備が続き、最終増備車は補助ステップから車体を下げるニーリング機能へ変更されました。晩年は浅間町に移りました。低公害車ということで、通常のディーゼル車よりも長生きの車でしたが、その中でもいち早くこの年式が全滅となりました。

ノンステップバス

1997年下期車 日産デKC-UA460KAM(7-4504 磯子)


▲独特の外見が特徴のUA460KAM。64系統でも運用された。

 磯子に1台のみ在籍した初期のノンステップバスUA460KAMです。その独特の外観から「装甲車」と呼ばれることもありました。基本的にリフトバスと共通で運用され、主に8・58・99・64系統で活躍しました。1999年式のノンステップバス登場時に設定された110系統の定期運用には入ることはありませんでした。トルクコンバーター式AT車で、ニーリング機能・アイドリングストップアンドスタートシステムを備えています。桜木町駅にて撮影
2000年下期車 日産デKL-UA452KAN改(0-4536 滝頭)


▲横浜市営に初めて新型7E車体を持ち込んだCNGノンステップ。後期車は中扉下窓がない。

 富士重新7E車体のUA452系CNGノンステップバスです。1999年式のノンステップバスは西日本車体工業製でしたが、再び富士重工業製車体が採用され、いすゞ車に続いてCNGノンステップバスとなりました。仕様は西工車体のUA460系に続き、中扉以降がツーステップ、MT車となっています。新型式UA452系から、この仕様の車両は「Gタイプ」ノンステップバスとして設定されています。この車両から新7Eタイプの車体となり、サッシュレスの側窓や中扉以降の窓配置に変化が見られます。滝頭にのみ「0-4536」・「0-4537」の2台が配置されました。2001年下期車もほぼ同仕様で増備が行われています。転属によって全車浅間町へ転属し、53系統などで活躍しました。赤レンガパークにて撮影
2001年上期車 日産デKL-UA452KAN改(1-4543 磯子)


▲新型7E車体の短尺車。

 富士重新7E車体のUA452系ノンステップバスです。久々の一般塗装車となりましたが、マイナーチェンジされた塗装となりました。営業所によって長さが違い、磯子には少し長くなってM尺車(軸間5.3m)が、港北ニュータウンにはK尺車(軸間4.8m)が投入されました。港北ニュータウンの閉鎖に伴い、K尺車が磯子へ転属して活躍しました。富士重車体の一般塗装車としては最後のグループとなります。桜木町駅にて撮影
2001年上期車 日産デKL-UA452MAN改(1-4544 磯子)


▲新型7E車体の中尺車。前面のフォグランプを従来の7E車体と同じにする改造が行われている。

 磯子に新製配置された少し長いM尺車のUA452系ノンステップバスです。こちらは、先のUA460KAMとは違い、110系統のノンステップバス定期運用にも入り、西工車とともに活躍しました。のちに前面のフォグランプが従来の7E車体と同じものにする改造工事が行われました(K尺車は未改造)。新たに64系統へ活躍の場を広げましたが、一部の車は横浜交通開発に譲渡されてしまっていました。桜木町駅にて撮影
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