横浜市営バス車両めぐり いすゞ車

 こちらでは、横浜市営に在籍するいすゞ車を紹介したいと思います。横浜市営におけるいすゞ車は、アイ・ケイ・コーチ製やいすゞバス製造、ジェイ・バス製の車体を架装する純正車と富士重工業製の車体を架装する車両の2通りがありました。純正車グループは、鶴見・港北のほか、2004年式が異例の港南・野庭(のば)・浅間町(せんげんちょう)などの営業所にも投入されています。その後野庭営業所は廃止され、野庭・港南に投入された車両は鶴見などに転属したようです。なお、富士重車体の車両は1997年下期〜1998年上期に鶴見・港北へ配置され、後に磯子(いそご)・本牧に転属した車両がありました。2009年・2010年はいすゞ車が大量増備され、2009年式はいすゞ車の新製配置は初となる磯子・本牧を中心に、2010年式は磯子・本牧のほか、1999年式以来の滝頭(たきがしら)、2004年式以来の港南にも配置され、市内南部でもいすゞ車が多く見られる結果となりました。
 1989年式から1995年式の途中まで機械式オートマチック(NAVI-5)を装備します。低公害車としては、CNG(圧縮天然ガス)ノンステップバス(浅間町)が存在し、輸送力重視の中尺ノンステップバス(本牧)や長尺ワンステップバス(本牧・港南)も存在し、バラエティ豊かな内容となっています。

2015/02/02更新 磯子の長尺車を追加しました。


1988年上期車 いすゞP-LV314L(8-1311 鶴見)

 この年式までは、屋根上に換気扇3台のみ搭載する外見が特徴となっていました。2000年までに全車廃車となりました。鶴見駅東口にて撮影
1988年上期車 いすゞP-LV314L(8-1318 鶴見)


▲貴重な液晶表示試験車。かつては109系統にも一般車が走っていた。

 前・側面・後の全行き先表示が試験的に液晶が採用された車両です。液晶の特性を生かし日本語と英語を交互に表示するというユニークなものでしたが、本格採用されませんでした。109系統スカイウォーク行きの表示ですが、英語では「SKY WALK」のほかに「DAIKOKU UMIZURI PARK」と表示され、「大黒海づり公園」が併記されているのが分かります。桜木町駅にて撮影
1989年上期車 いすゞP-LV314L(9-1366|9-1367 鶴見)

 この年式のみ屋上にスリムなクーラーが搭載されているのがポイントです。鶴見に新製配置された車両は短尺L尺車(軸間5.0m)で、港北の最短尺車(軸間4.65m)と比べると窓の数や大きさが異なります。1989年下期車もほぼ同仕様ですが、NAVI-5の試作車です。
1989年上期車/下期車 いすゞP-LV314K


▲AT試作車(左)と一般的なマニュアル車。外見上の判断は難しい

 1989年式のグループです。画像のうち、左は1989年下期車のNAVI-5試作車、右は1989年上期車のマニュアル車です。どちらもLV314系の最短尺K尺車(軸間4.65m)で港北営業所に在籍します。なお、一部については、鶴見に転属した車両もありました。鶴見駅西口にて撮影
1992年下期車 いすゞU-LV324L(2-1397|2-1394 鶴見)

 横浜市営では、1990年下期車からNAVI-5を本格採用し、画像の1992年下期車までほぼ同じ仕様で増備されていました。LV314系と比較すると、窓柱が黒くなったり中扉窓の丸みが小さくなっているのが分かります。また、屋根上にクーラーユニットがなくなり、1988年式以前のイメージに戻りました。側窓が2段窓となっている車両はこのグループが最後で以降からは引き違い式のメトロ窓となり外見が一変しました。鶴見駅東口にて撮影
1995年下期車 いすゞKC-LV380L(5-1439 港北)

 他のメーカー同様で、いすゞ車にも営業所に1台のみ在籍する都市型低床車が存在します。港北に配属された車両は、LV380の最短尺L尺(軸間4.8m)車です。
1995年下期車 いすゞKC-LV380N(5-1441 鶴見)

 鶴見の都市型低床車は中尺のN尺車(軸間5.3m)で、港北の車両よりも長い車両となっています。このグループは、旧塗装の最終で中扉4枚折戸が採用され、後に登場するワンステップバスに近い仕様となりました。なお、1996年に車体メーカーがアイ・ケイ・コーチからいすゞバス製造に変わるので、アイ・ケイ・コーチ製としては最後のグループとなります。鶴見駅東口にて撮影
1997年上期車 いすゞKC-LV380L(6-1451|6-1450 鶴見)


▲どの車体に塗っても似合う美しい新塗装。キュービック車体にも問題なく塗装できた。

 この年式からワンステップバスの採用となりました。直線的な新塗装や側窓に逆T字窓を採用し、大きくイメージチェンジしています。前扉には、ステップの最下段が下がる補助ステップを、中扉には、車椅子用のスロープ板を設けているほかアイドリングストップアンドスタートシステムも装備するようになっています。また、屋根上にはクーラーユニットが付きました。このように屋上機器で換気扇以外のものが付いたのは1989年式以来です。長さは、この年式から港北・鶴見ともに最短尺のL尺(軸間4.8m)に統一されています。ついにこのグループにも廃車の手が及んでしまっているようです。鶴見駅東口にて撮影
1997年下期車 いすゞKC-LV380L(7-1457|7-1453 港北)


▲純正車が基本の横浜市営では異色の富士重車体を架装するグループ。

 富士重7E車体を架装する車両です。屋上のクーラーユニットが純正車と同じものが搭載されているため、大きなポイントとなっています。なお、横浜市営のいすゞ車で富士重工業の車体を架装することは、きわめて珍しいことです。同じ富士重車体を持つ日産ディーゼル車とはフロントガラス下の黒い塗装がないことで、前面から判断できます。
1997年下期車 いすゞKC-LV280Q(7-1460 鶴見)


▲長尺車な上、さっぱりした屋根上から長い丸太の感があるグループ。

 富士重7E車体を架装した長尺のQ尺車(軸間5.8m)です。109系統の運用を前提として、運転室直後から後まで2人掛けのハイバックシートが整然と並んでいます。エアサス(空気バネ)が採用され、乗降時に車体を下げられるニーリング機能(車高調整装置)を備えています。扁平タイヤを履いた都市型低床車で、屋根上には換気扇2つ以外は何ものっていないという、さっぱりした外見です。運用はやはり109系統がほとんどで、休日には観光客を、平日にはたくさんの通勤客を乗せて走ります。桜木町駅付近で撮影
1998年上期車 いすゞKC-LV380L(7-1478|7-1475)


▲富士重車体の増備タイプ。仕様に若干の変化が見られる。

 富士重7E車体を架装したワンステップ車です。このグループから車外スピーカーの形状が変わり、座席も背もたれの高いハイバックシートがとりやめとなりました。なお、富士重工業製の車両もこのグループで一段落しています。鶴見駅東口にて撮影
1998年下期車 いすゞKC-LV280L(8-1487 港北|8-1501 鶴見)


▲乗り心地の良い、いすゞ自慢のエアサス車

 この年式から再び純正のいすゞバス製造製の車体を架装するようになりました。乗り心地の良いエアサス(空気バネ)車となり、側面行き先表示窓が開閉できるようになるなどの変化が見られます。また警笛が変わり、三菱車に近い音色となりました。この型式は、1999年上期まで増備されますが、1999年上期車は、従来の補助ステップをやめて車体自体が下がるニーリング機能に変更されています。最近の大幅な転属によって1998年下期車の一部は晩年磯子へ転属し、113系統で使用されたほか、保土ヶ谷へ転属して保土ヶ谷駅西口〜星川ビジネスパーク間の貸切専用車に使用された車両がありました。
2008年下期車 いすゞPKG-LV234Q2(8-1632 本牧)


▲混雑路線のための堂々長尺ワンステップ。

 ワンステップのいすゞ車としては1999年式以来の投入となりました。エルガのワンステップというのももちろん初登場です。本牧から日野の長尺ワンステップが転出することから、長尺ワンステップとして投入されたようです(Q尺、軸間5.8m)。仕様的には中扉4枚折戸がメーカー側でオプション設定となったようで、引戸が採用され、異色となっています。N尺ノンステップバスとともに8系統などの混雑路線で使用されています。桜木町駅にて撮影
2013年上期車 いすゞQPG-LV234Q3(3-1764 港南)


▲51・52系統で活躍する港南の長尺ワンステップ。

 港南営業所に配属された長尺ワンステップです。2008年式と比較すると、前面の交通局章がステッカーとなるなどの「軽装仕様」化や、モデルチェンジによる非常口側側面の上段引き違い・下段固定窓中央寄り2ユニット分が大型固定窓となったり、タイヤホイールのISOねじ化、尿素水を使ったシステムになったことなどがあります。従来からの日野ブルーリボンシティとともに51・52系統で活躍しています。最戸橋付近にて撮影
2014年上期車 いすゞQPG-LV234Q3(4-1793 磯子)


▲窓配置に変化のあった長尺ワンステップ。

 引き続いて導入された長尺ワンステップです。今回も仕様の変更が行われ、側窓ガラスに熱線吸収ガラスが採用されています。このため、非常口側の側窓が2013年式の大型固定窓から通常の上段引き違い・下段固定窓へ変更されています。ドア側の窓配置も変更され、行き先表示窓が戸袋窓直前に移動しています。2013年式では配置のあった港南には今回は入りませんでした。最戸橋付近にて撮影

ノンステップバス
1999年下期車 いすゞKC-LV832L(9-1529 鶴見) いすゞKC-LV832L改(9-1532 港北)

 この1999年式から長さが最短尺(L尺、軸間4.8m)となり1997年式・1998年式のLV832で採用していた中尺(N尺、軸間5.3m)と比べると大分短くなりました。さらに、中扉がグライドスライドドアをやめて引き戸になりました。このグループは鶴見と港北に1台ずつ在籍します。同時期に、滝頭にCNGノンステップバス(KC-LV832L改)が5台入りましたが、その後港北に転じています。画像は滝頭時代のもので、100円バス運用の様子です。
2000年下期車 いすゞKL-LV280L1改(0-1541 鶴見)


▲前面こそカーブ帯なものの、1997年式以来の太帯が特徴だったグループ。

 この年式からニューモデル「いすゞエルガ」の投入となりました。いすゞのノンステップバスのうち、「TYPE-A」が採用されて、いすゞでは初めてマニュアル車のノンステップバスとなりました。中扉以降が日産デ車同様にツーステップとなっているのが特徴で、外見は従来のLV832よりもシンプルになり、ワンステップバスに近くなりました。また外部塗装はマイナーチェンジされたものとなり、正面だけが丸みを帯びた塗装になりました。この年式のみ、登場時は1997年上期車以来の太帯でしたが、以降の増備車から帯幅が細くなり、この年式に関しても最近になってから細帯化されてしまいました。画像は登場時の姿です。鶴見駅東口にて撮影
2002年下期車 いすゞKL-LV280N1改(2-1569 本牧)


▲ちょっと長い車体を生かして混雑路線で活躍する。

 109系統専用に鶴見に配置された車両で、他のノンステップよりもワンサイズ長いN尺(軸間5.3m)が選択されています。ABSを装備しているため、リヤにロゴが見られます。109系統専用車の任を解かれてからは、本牧に移り、8系統などの混雑路線での運用が中心となっています。桜木町駅にて撮影
2004年下期車 いすゞPJ-LV234L1(4-1626 野庭)


▲東戸塚駅に現れたジェイ・バス製車体のエルガ。現在では貴重なショットとなった。

 従来のいすゞバス製造は日野車体工業と統合され、ジェイ・バスになりました。この年式は、そのジェイ・バス製車体を架装するいすゞエルガです。基本的にはいすゞバス製造製と大きく変わりませんが、エアコンユニットが大型化され、エンジンルーバーが非常口側に変わりました。国土交通省認定標準仕様ノンステップバスのステッカーも見られます。この年式は従来日野車で投入していた港南・野庭など思わぬ営業所にも投入され、ファンの注目を集めましたが、野庭営業所が廃止され、港南車とともに鶴見営業所などへ転属したようで、一時は上大岡駅周辺などでは見られなくなっていました。現在は更なる転属で滝頭車が存在するため、上大岡地区でもこのグループの姿を見ることが出来ます。東戸塚駅東口にて撮影
2010年下期車 いすゞPKG-LV234L2(0-1700 港南)


▲2004年式以来の新製配置となった港南のエルガ。

 2009年式に引き続いて増備された2010年式です。港南・保土ヶ谷・滝頭・磯子・本牧といった市内南部の営業所にも大量に配置され、全体の台数はかなりの台数が存在するものと思われます。キリ番「1700」は港南が取ることになりました。野庭営業所廃止で、上永谷駅には港南車が来ることになりました。上永谷駅にて撮影
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